年上なのに、翻弄されて
「はいはい……どうしたの?」

「ふふっ。あのね? 生まれてくる子の名前,妊娠が発覚したときに忠仁と話してたんだけど,呉羽の名前を貰っても良いかしら?」



私の名前?



「女の子だったら初美の初と呉羽の羽で綾瀬 初羽(いろは) 男の子だったら忠仁の仁と呉羽の呉で綾瀬 呉仁(くれと)にするつもり。同姓の双子だったら……そうね,女の子なら呉愛。男の子なら蓮くんの名前を貰いましょう」

「私は良いけど何で蓮?! 関係ないでしょっ」

「そうね,蓮くんの名前はとっておかなくちゃ」



一体何の話……?

もうやだ……

タップで電話をきり,私は隣に座り直している蓮にしだれかかった。

なんか,甘えたい……みたいな。

蓮は私を受け入れるように私の向きを少しだけ変えた。

そして髪をすく様にして私の頭を撫でる。



「ふふふっ。蓮はやっぱり優しいね。今日……居てくれて良かった。ありがとう」

「呉羽,眠たいの? ふふっ。可愛い。いいよ,他のひとにはダメだけど,僕にならもっと頼って?」



言われてみれば,なんだか意識がふわふわする。



「もしかして呉羽,そのままねそう? ふふっまぁいっか。僕も動けないからここで寝るけど許してね? ふふっ。起きたときの呉羽,楽しみだなぁ」



ーそして翌日,目覚めた私の悲鳴がマンションに轟いたのは言わずもがなである。
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