年上なのに、翻弄されて
蓮は,蓮を見上げた私の頬に手を添えて,無情にも目の下の辺りを拭った。



「呉羽,嘘はだめ。やっぱり気のせいじゃないよね」

「詮索しないで」



顔の赤みがバレないように私は必死に顔をしたに向ける。

蓮は直ぐに私のうなじを撫でるようにして手をそえると,目が合うように優しく私の顎を掬い上げた。



「呉羽は,僕が少し触れただけでこんな顔をするのに,どうして僕を遠ざけようとするの?」

「~っ蓮! 明後日から夏休みだね」

「呉羽?」



私は脈絡のない話題に戸惑う蓮を無視して捲し立てる。

何も言われたくないときは自分が話せば良い。



「私,今年の夏はお母さんの所に帰るから……コンビニでパンだけとかカップ麺だけとかしちゃだめだよ? 明日も久しぶりに1人でゆっくりしたいから来ないで。また新学期に」



蓮の話しなんて……聞かない。
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