年上なのに、翻弄されて
すっかり涙も引っ込んで,親友に尋ねた。



「あっあのっもしかして! え~と何だっけ? あっ呉羽先パイですか!?」



人懐っこい笑み。



「知ってるの? 美世ちゃん話した?」

「呉ちゃん元々有名だから恭くんも知ってたよ?」



有名ってたぶん良いことじゃないんだろうな~……



「あっ俺……」

「私たぶん分かるよ?」



え~と何だっけ? えーと……



「あっ蓮の友達の友達のいとこの真田恭也くん!」



真田くんは目をパチクリとさせて,明るく笑った。



「蓮って3組の有名な奴ですか? 喋ったことねぇんで分かんないっすけど,多分そうです」



うん。

愛想の良い子で美世ちゃんにもお似合い。



「呉ちゃん良くあんな長いフレーズ覚えてたね」

「そりゃぁね。直ぐに忘れそうになるけど,なんたって親友の初恋だもん!」

「ちよっ呉ちゃっ」



空気が凍った。
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