年上なのに、翻弄されて
「おはよう。呉羽」
   
  
   
何でこの子は朝からこんなに甘いのか。
  
にっこり笑う彼に,うつむいて部屋に上げるので精一杯だった。  
    
それに……彼の私服姿。  
   
今まで私がいかにコンビニ袋しか見ていなかったのか思い知らされる程に,オシャレで,それでいてよく似合っていた。
 
うっ 
  
  
  
「ね,ねぇ! 朝ごはんは和食? 洋食?」
     
「昨日のハンバーグも美味しかったし,僕の事は気にせず,呉羽が食べたいものを作ればいいよ」
   

  
今日もありがとね。 
  
そう微笑む彼の言動は天然? 計算? どちらにせよ恐ろしい。   
   
    
  
「じゃあ昨日と同じ場所に座って待ってて」
  
 
  
そう言って,私は少し喜んでしまった自分に見ないふりをして,キッチンへ急いだ。
 
 
  
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