バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
藤井さんは嬉しそうに私の顔を覗き込む。
「この写真は、どういうことか説明していただけますか?」
そこに写っているのは、営業部の女性社員相田さんと藤井さんとのキスシーンだった。
「な、なんでこれを」
「あなたの隣に座ってる方に教えていただきましてね」
藤井さんは慌てて、私と反対側に座る人物の顔を見た。

その人は、ゆっくりと薄い色つきのサングラスを外して、こっちを向いた。
「しゃ、社長!」
藤井さんが青ざめていくのがわかった。
「君のことはよく分かったよ。自分の身の振り方はわかっているね。明日の朝、社長室に来るように。娘には、今から一切連絡はしないようにしろよ。それと緑川くんに今日のことをお願いしたのは私だ。もし緑川くんにも被害を与えたら、その時は容赦しないぞ」
「いえ!誤解です!これは、相田くんが私をはめたんです!」

さっきまでの私との会話を忘れてるのか、この人は。
「藤井さん、今、相田さんは吉本さんにお願いして、残業してもらってます。丁度、今頃景山くんが藤井さんとの話を聞いてますよ」

私は、景山くんに電話を入れて証言を確認した。
「藤井さんから誘われたらしいですよ」
景山くんには、私が藤井さんと話しているのと同時に証言を聞いてもらっていた。
「ありがとう。気をつけて帰ってね。吉本さんにも宜しく」
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