バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
もやもやした気持ちと、いらいらが湧き出てくる。
その男は、緑川さんと仲良くしゃべっていて、手を握ろうとしている。
胸がざわついた。

「赤星くん、今、近くでタクシー拾えそうかな?」
課長の声で我に返る。
「す、すぐに見て来ます」
僕は店の外に出て、近くにタクシーが数台止まっているのを確認した。
「落ち着け。落ち着け」
大きく深呼吸をして、店に戻った。

すると、さっきまでの様子と雰囲気が変わっていた。
「何があったんだろう・・・」
取りあえず席に戻って、課長に声をかけ、取引先の人達を見送るために、もう1度店を出て、タクシーを見送った。

「課長すみません、僕、忘れ物をしたみたいで、先に帰ってください。お疲れ様でした」
そう言って店に戻ろうとすると、緑川さんと話していた男性が店から出て来て、苦虫を噛み潰したような顔をして街の中に消えていった。
そして、その後、品性のある年配の男性も、お店から出てきた。
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