バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される

断ることも出来た。
ただ、始めは知っている人が居ても、慣れない環境だから、赤星くんの気持ちが和らげばと、慣れるまではこのまま続けようと思った。

でも、毎日のこの時間が待ち遠しくも感じていた。
そして、今までは営業トークと流せていた赤星くんの言葉に、胸がどきっとして、今までと違う感覚が宿り始めていた。

「と、とにかく元気なら安心したわ。おやすみ」
「切らないで！ちょっと待って下さい。僕、目が覚めました。緑川さん、責任取って、少し話してくださいよ」

赤星くんは強制的に、今日あった出来事を話だした。
私は「うん、うん」と話を聞きながら、楽しんでいる。
いつの間にか、赤星くんのためと思って続けていたことが、私に取って、とても大切な時間であることに気がついた。

ある週の金曜日、会議資料の準備とチェックで帰りが遅くなった。
「終わったぁ。明日は休みだ！」
伸びをして、帰る準備をし、携帯を見た。
「うそ・・・」
10件の着信の主は赤星くんだった・・・
メッセージを見ると
「今日、ニュースを見てたら、急に心配になりました・・・大丈夫ですよね？」

遅くなることなんて、いつものことなのに。
私はそのメッセージに笑いながらも、心配してくれたんだと、直ぐに電話をかけるとワンコールで出た。

「緑川さんですよね？」
「私だよ。ごめんね、仕事に集中して気がつかなかった」
「良かった・・・もう連絡取れなかったら、緑川さんの家の前に行くところでした」
「大げさだよ」
「緑川さん、心配なので家に着いたら連絡くださいよ」
「うん、わかった。じゃあ、帰るね」
いつもは、仕事に疲れて、慣れた道を家に向かって帰るだけ。