バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
「お腹いっぱいになったので、少しブラブラしましょうか。疲れてないですか?」
「大丈夫。体力に自信あるから」
「さすが緑川さん。でも、僕の前では強がらないでくださいね。緑川さんは仕事で気が張ってるんですから。僕といる時くらいは、気を張らず、素の姿でいて下さい」
「ありがとう」

赤星くんの言葉に、一言だけ返事をした。
課長として覚悟を決めてから、ずっと気を抜かずにいた。
女性だからと言われないように。
私がそう思われたら、他の女性社員達の活躍の道を阻むことになるかもしれない。
この2年間、そう気持ちを奮い立たせ、毎日を過ごした。
赤星くんの言葉に、涙がでそうだった。

2人を乗せた車は、ショッピング施設へと向かった。
何か買うあてもなく、立ち止まっては歩いてと、時間を過ごした。

「ゲームセンターか、久々だな」
目の前には、華やかに色めくゲームセンターのコーナーがあった。

UFOキャッチャーか・・・
ムキになってたころもあったっけ。
「緑川さん、やりますか?」
「取れないからいいよ・・・」
「でも、やりたそうでしたよ。それじゃあ、2回だけって決めてやってみますか?」
「そうね・・・それならやってみる」
1回目、ぬいぐるみが押しつぶされるような感じで、終わった。
2回目を始めようとした時
「緑川さん、タイミングが悪いです」
私の手に赤星くんは手を添えて
「あ、ここ」
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