バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
「今日は付き合ってもらって、ありがとうございました。疲れませんでしたか」
「ううん、私も凄く楽しかった。1人じゃ来ることなんてないし」

夜風が吹く中、私は足を止めて、海を見つめた。
あっという間に、外は暗くなっていった。
「あっという間に夜になったね」
「そうですねぇ・・・」
赤星くんは少しため息交じりで、一言だけぽつりとささやいた。
しばらく、2人は海を見つめていた。
「このまま2人の時間が止まればいいのに・・・」

聞こえるか聞こえ無いかの声で赤星くんがささやく。
遠くを見てつぶやいた赤星くんの言葉に、どきっとする。
今までなら、流せた言葉は、私の心を揺さぶった。
私がそう思ったからだ。

私は聞こえないふりをして、海を眺めていた。
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