バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
★最強元カレの出現 ~拓真★

まさか、二海堂さんが帰って来るなんて。
僕の幸せを揺るがす日は突然にやってきた。

二海堂さんが会社を訪れたのは、水曜日のプロジェクト会議の後だった。
奈織と呼ばれ、衛と呼び合う中に、嫉妬の渦が僕の心を襲う。
嬉しそうな奈織さんは、吉本さんと二海堂さんと打ち合わせに入ったまま、出て来なかった。

給茶室の横を通ると、女性社員の話声が聞こえた。
「ねぇ、最強カップル、2年前と変わらずお似合いよね」
「2年前より、お互い箔が付いて、2人が違う世界にいる感じがしたよ」
「それに、あの2人、見た目だけじゃなくて、仕事も息ぴったりだったもんね。何しても絵になるし、憧れるね」
「結婚すると思ってたけどね。課長昇進の話が遅かったら、きっと緑川さん、一緒にニューヨーク行って、今頃CEOの奥さんだよ。勿体ない」
「でも、今回、もしかして迎えに来たとか?」
「あり得るね。私だったら、絶対について行くわ」
僕は嫉妬で気がどうにかなりそうだった。
奈織さんを傍で感じたい。

吉本さん達が部屋から出てきて、二海堂さんが帰るようだった。
僕も下の階に降りて、奈織さんに声をかけようと待っていた。
奈織さんを見かけた時、嫉妬で衝動に駆られてしまった。
僕の奈緒さんだ!その証明を感じたかった。

気持ちの勢いを押さえ切れず、唇を奪ってしまった。
僕は、好き過ぎて何をしてるんだ・・・
奈織さんを困らせてしまうなんて・・・

この気持ちのままでは、奈織さんと電話すると何を言ってしまうかわからない。
今日はメッセージだけにして、明日出張先で電話をしよう。
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