バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
「奈織に待っていてくれと言って、縛ることはしなかった。ようやくCEOとして認められた今、奈織にふさわしい男として、自信を持てたから気持ちを伝えに来たんだ」

この人、2年間、奈織さんを思い続けて必死に努力したんだ。
僕も奈織さんに振り向いて欲しくて、必死にもがいていた。
奈織さんへの思いは同じだ。

「僕のいない間、君と奈織は恋に落ちたかもしれない。でも、僕も入社からずっと奈織と絆を深めてきた」
わかっている、誰もが認める最強カップルだったのだから。

「僕の気持ちは正直に伝えたい。そして何よりも大切なのは奈織の気持ちだ。選ぶのは奈織だから。それだけ言いたくて。じゃあ、失礼するよ」
僕は返す言葉が無かった。
確かにそうだ。
二海堂さんが居なかったから、奈織さんは僕を見てくれた。
そうでなければ・・・
きっと奈織さんの横にいたのは、僕じゃなかった。
奈織さん、どうするんだろう。

今日は今から出張で明日の夕方にこっちに帰ってくる。
昨日のこともあったし、奈織さんに顔合わしてから行こう。

「景山くん、緑川さんは?」
「今会議中ですよ。多分1時間くらいは戻って来ないですよ」
「そう・・・ねぇ、景山くん、緑川さんから、何か聞いてない」
「何かって・・・あぁ、そう言えばさっき吉本さんに、今日の二海堂さんを見送る会と称した飲み会に誘われてましたけど、断ってましたね」
「・・・わかった。ありがとう。じゃあ、僕今から出張だから」
「いってらっしゃい。気をつけて」
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