バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
私はお父さんを軽くあしらって、2階へと向かった。
「奈織さん、お父さんと似てますね。でも、あんなに軽くあしらって・・・」
「いいのよ。私、妹がいてね、女ばかりだから、味方が出来て喜んでるのよ」
「そしたら、僕が少しでも・・・」
「また今度ゆっくり来るから。ここ私の部屋なの」

ドアを開け中に入り、部屋の真ん中に座った。
きちんと私の気持ちを伝えなきゃ・・・
衛のことも。
「拓真、衛のことなんだけど」
「・・・」
「ごめんね、変に心配かけると思って、私がはっきり言わなかったから。私の衛に対する気持ちは2年前で区切りがついてるのよ」
拓真は目を合わさない。
「もちろん、しばらくは寂しいとか思ったよ。でも、課長になったばっかりで、周りに認めてもらうのに必死で、悲しんでられなかった」
私が拓真の手を取ると、ゆっくりとこっちを見た。
「何よりも、今は拓真がいる。私は拓真だけだから。だから心配しないで」

拓真は言いたいことを我慢してたのか、息急ききったように話だした。
「課長の昇進の話が無かったら、二海堂さんについて行ってましたよね」
「そうかもしれない。でも行かなかった。そして拓真に出逢った」
「二海堂さんはCEOです。僕はそんなに偉くなれない」
「肩書きじゃない」
「僕は二海堂さんみたいに、奈織さんと息ぴったりに仕事できていない」
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