バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
「まだ始まったばかりじゃない。それに、私生活では息ぴったりだと思ってるけど?」
拓真が私の手を握り絞める。
「本当に、本当に僕でいいんですか?」
「だめなら、両親に紹介しないでしょ?」
「・・・良かった」
拓真は私を力強く抱き寄せた。
拓真の体が少し震えているのがわかる。
「ごめんね、心配かけて・・・」
私はそっと頭を撫でた。

しばらくすると落ち着いたのか私から体を離した。
「奈織さん、行きたいところがあるんですけど」
「うん、いいけど、どこ?」
「それは行ってからのお楽しみです」

途中で食事を取り、すっかり外も暗くなった。
お腹もいっぱいになり、疲れからか、うとうとし始めた。
「奈織さん、起こしますから、寝てて下さい」
「ううん、大丈夫・・・」
瞼は言葉と裏腹に、閉じて眠りについてしまった。

「奈織さん、着きましたよ。少し外に出ましょう」
拓真に起こされて、うつろな目で車から出ると、目の前に現れた夜景に目を奪われた。

「奥多摩湖です」
「わぁ、綺麗!」
「時々1人で来ていたんですよ。いつか奈織さんに見せたいと思っていました」
「ありがとう。凄く嬉しい!」
「水辺に映しだされる星が見れたらいいですけどね。緑川さんに僕が映ってる感じでよくないですか?」
「出逢ったころに言ってたね、名前のこと」
「緑川さんの傍にいて、ずっと輝き続けたいです」
そういうと、優しい笑顔で私を見つめ、私の体を引き寄せた。

「吸い込まれそうな景色ね」
しばらく、夜空を見ていると時が止まり、夜景と一体するような空間が神秘的だった。
「どうか、私と拓真が変わりなく幸せでありますように」
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