バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
拓真がじっと私の顔を見つめている。
「奈織さん、もしかして、髪が長いから、人妻の色気が増すんじゃないですか?」
「えっ?」
「そうだ、髪、短めにしたらいいかも。奈織さん、髪を短めにしてください」
「私、肩より短くしたことないから、似合うかなぁ・・・」
「似合わなくていいんです!じゃあ、すぐ切ってきてください」
拓真・・・
「まぁ、拓真がそれで納得するなら、私はいいわよ」

私は美容院に行って、肩より短めの私に似合いそうな髪型にしてくださいとだけ言って、髪型をお任せした。
「お客様はどんな髪型でも似合うと思いますよ」
美容師さんはそう言ってくれたけど、本当に大丈夫かな・・・
バッサリと髪を切られ、ショートボブで、トップにボリュームを持たせた感じに仕上がった。
「こんなに短くすることないから、新鮮だわ。首元がちょっと寂しいけど」
「とてもお似合いですよ。モデルさんみたいですね」
「ありがとうございます」
そう言って、美容院を後にした。

「ただいま~」
「おかえり、奈織さん」
ソファーから起き上がり、私を見た拓真が絶句していた。
「だから、短いのは似合わないって言ったのに。まっ、髪は伸びるから待ってて」
「そうじゃなくて・・・色気増してるじゃないですか」
拓真が私に近づいて、髪を触りながら、ため息をついていた。
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