絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
(あれを全部ひとりで調薬するのかな?)

 結構な量なので、大変そうだ。
 そうこうしているうちに、また別のお客さんが来た。胃薬を買って帰って行く。

(接客のたびに中断しているんじゃ、できるものもできないよね)

 そのとき、いいことを閃いた。私が手伝ってあげればいいのでは?
 幼児になったとはいえ、元は薬師として生計を立てていたのだ。

「すみません!」

 私は大きな声を上げて、女性を呼びかける。
 女性はすぐ声に気付いたようだが、あたりを見回して不思議そうに首を傾げた。私の背が小さく、カウンターに隠れていて見えなかったようだ。

「すいませーん!」

 もう一度大きな声上げる。女性は手を止めて、今度はカウンターのほうへと近づいてきた。そして、私を見つけてびっくりした顔をする。

「あら、お嬢ちゃん。気付かなくてごめんね。お薬を買うお使いを頼まれたのかしら?」
「ううん、違うわ。お薬作りが大変そうだから、お手伝いしようかと思ったの!」

 私は大きな声でそう伝えた。

「お手伝い?」

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