絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 思ってみなかった提案に、女性は目を丸くする。

「うん。私、お薬の調合できるわ!」
「お前さんが? 調合を?」

 女性はますます目を丸くする。そして、残念そうに首を横に振った。

「ありがとう。気持ちだけでも嬉しいよ。でも、これは私がやらないといけないことなんだよ」
「でも、たくさんあって大変そうだわ」

 私が幼児の姿をしているから任せられないと思ったのだろう。私が逆の立場でも、きっとそう思ったと思う。だけど、大変そうにしている女性を見て見ぬ振りするのも気が引けたし、こんな姿になったとはいえ、みんなの役に立ちたい。

「私、調薬は得意だから大丈夫だよ。お姉ちゃんのお手伝いしてきたから」

 さらに私が言いかけたそのとき、背後から「あれ? エリーちゃんではないですか? こんなところでどうしたのですか?」と声がした。

 振り返ると、制服姿のロベルトさんがいた。町の巡回に行ってきたのか、馬に乗っている。
 ロベルトさんはひらりと馬から降りると、こちらに近づいてきた。

「ロベルトさん、この子と知り合いかい?」

 困惑気味の女性がロベルトさんに声をかける。
「ええ。以前立ち話でお話しした、団長が引き取っている子供ですよ。聖女候補の妹さん」
「あら、この子が!?」

 女性は目をまん丸にして私の顔を見る。
 どうやら、私は思った以上に有名人らしい。

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