絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
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その日の夜、私は夕ご飯を作っていた。
お鍋の中身をぐるりとかき混ぜると、少し酸味のある爽やかな香りが鼻孔をくすぐる。
「いい匂いだな」
イラリオさんが横から鍋の中身を覗き込む。今日はお野菜たっぷりな鳥のトマト煮込みを作ってみた。
「もうすぐできるよ」
「さすがエリーだ。天才だな」
「食べてから言ってよ」
「食べる前からわかる。この匂いは、美味しいに違いない。食べたときに褒めるだけじゃ褒め足りないから、先に褒めておく」
イラリオさんはにこっと笑って私の頭をがしがしと撫でる。
相変わらず、イラリオさんはとっても褒め上手だ。悪い気はしなくって、私もついつい嬉しくなってしまう。
料理道具をしっかりと揃えてもらったお陰で、最初の頃よりずっと作業しやすくなった。それに、イラリオさんが私でも使いやすいようにと踏み台を作ってくれたので、高さもばっちりだ。
「そろそろいいかなー」