絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 火を止めて、鍋の中身をお皿に移す。野菜と一緒に煮込んだ鶏肉がトマト色に染まってとっても美味しそう!
 それをイラリオさんが手際よくテーブルに並べてくれた。

「「いただきます」」

 ふたりの声重なる。

「そういえばエリー。アルマ薬店の手伝いをすることになったんだってな?」

 早速イラリオさんは今日の昼間のことを聞いてきた。
 あのお店はアルマ薬店といって、セローナ地区の聖騎士団に隣接するように店がある。聖騎士団は任務の特性上怪我も多いので中に医務室があるのだけれど、そこに納品する薬を主に処方しているようだ。もちろん、町の人向けの薬も売っている。

「うん! 私、薬作るのが得意なの」
「へえ」

 イラリオさんは意外そうに、片眉を上げる。

「そういえば、アリシアは薬師だって言っていたな……」

 ふと思い出したように、イラリオさんが呟くのが聞こえた。

「私、アリシアから薬の作り方教わったから同じ位上手に作れるわ。レオが怪我したら、私がお薬処方してあげるね」
「そりゃ、心強いな」

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