絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 ははっとイラリオさんは笑う。

「レオ、信じていないわね? 本当に私のお薬は効くんだから!」
「信じているよ。頼りにしてる。聖騎士団は怪我が多いからな」

 あっという間にお皿が空になったイラリオさんは、お替わりをよそうために立ち上がった。

(そういえば、今日の昼間……)

 私はふと、今日の昼間にアルマ薬店で聞いたことを思い出した。

「ねえ、レオ。〝魔獣〟って何?」
「魔獣? どこかで見たのか?」

 レオの表情がさっと強張る。私は、何かよくないことを聞いてしまったのかと不安になった。

「ううん、見てない。今日の昼間、アルマ薬店のカミラさんとロベルトさんが話しているのを聞いたの。今日は魔獣が出たからけが人が多いって──」
「ああ、なるほど」

 レオはほっとしたように表情を和らげた。

「魔獣って言うのは、瘴気を纏った獣のことだ」
「瘴気……」

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