絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
第4章 幼女薬師、聖獣を保護する
第1話
■ 第4章 幼女薬師、聖獣を保護する
■ 第1話
「なんだか今日は嫌な天気だなあ」
カウンター越しに、今にも降り出しそうな曇天を見上げる。空一面を濃い灰色の分厚い雲が覆っていた。天気が悪いせいか、今日はお客さんもほとんど来ない。
「カミラさん、雨が降る前に帰ってこられるかな」
カミラさんは、先ほどセローナ大聖堂に併設された医療院へとお薬を届けに行った。そのため、今は私ひとりで店番をしている。
そんな中、私は視界の端で黒いものが忙しなく動いていることに気付いた。
右に行ったと思えば左に行き、かと思えばまた右に行く。
(? 何やっているんだろ?)
いつになく落ち着きなく歩き回るイリスの姿に、私は首を傾げる。
「イリス、どうしたの?」
「嫌な感じがするにゃ」
「嫌な感じ? 天気のこと?」
「そうじゃないにゃ。今日はいつになく、瘴気が濃いにゃ」
イリスは長い尻尾を下げて股の間に入れ、不安そうな目で空を見上げる。
「瘴気……」
■ 第1話
「なんだか今日は嫌な天気だなあ」
カウンター越しに、今にも降り出しそうな曇天を見上げる。空一面を濃い灰色の分厚い雲が覆っていた。天気が悪いせいか、今日はお客さんもほとんど来ない。
「カミラさん、雨が降る前に帰ってこられるかな」
カミラさんは、先ほどセローナ大聖堂に併設された医療院へとお薬を届けに行った。そのため、今は私ひとりで店番をしている。
そんな中、私は視界の端で黒いものが忙しなく動いていることに気付いた。
右に行ったと思えば左に行き、かと思えばまた右に行く。
(? 何やっているんだろ?)
いつになく落ち着きなく歩き回るイリスの姿に、私は首を傾げる。
「イリス、どうしたの?」
「嫌な感じがするにゃ」
「嫌な感じ? 天気のこと?」
「そうじゃないにゃ。今日はいつになく、瘴気が濃いにゃ」
イリスは長い尻尾を下げて股の間に入れ、不安そうな目で空を見上げる。
「瘴気……」