絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 おばあちゃんがこくりと頷く。

(大人が使うんだから、小さじ軽量スプーン一杯ずつだよね)

 軽量スプーンを使って瓶から薬を取り出すと、私はそれを慎重に正方形の紙の上に載せてゆく。薬を包む専用の紙だ。最後に丁寧にそれを折って包み状にすれば、喉の痛みに効く薬の薬包が完成する。
 それを一日二回で五日間分、計十回分作った。

「おまたせしましたー」

 私は作りたての薬包を全て紙袋に入れると、それを持ってカウンターへと向かう。おばあちゃんはイリスの背中を撫でていた。イリスといえば、完全に猫の振りをしている。

「朝晩、これを煎じたものでうがいをしてくださいね」
「ええ、わかったわ。エリーちゃん、いつもありがとうね」

 おばあちゃんは笑顔でそれを受け取る。

「あ、そうだわ。これ、よかったら受け取って」

 鞄に薬の紙袋をしまったおばあちゃんは、代わりに小さな花束を取り出す。黄色い花で作られた、可愛らしいものだ。

「わあ。可愛い、いいんですか?」
「もちろんよ。エリーちゃんが喜ぶかと思って作ったの」

 おばあちゃんはにこにこと笑う。
 私のために作ってくれたの? すごく嬉しい!

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