絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
(聖獣は人を襲ったりしない?)

 そういえば、さっきイラリオさんも同じようなことを言っていた気がする。

(やるしかないわね)

 怖くないといえば嘘になる。でも、あのとき私を助けてくれたこの子が自分を噛むなんてきっとない。そう信じて、私は腹を決める。

 両手を伸ばして聖獣の口をこじ開ける。弱っているせいか、その口は大した抵抗もなくすんなりと開いた。イリスがタイミングを見計らったように近づいてきて、少し持ち上げた頭の下に体を滑り込ませる。頭を支えるのを手伝ってくれているのだろう。

 私は薬を握ると聖獣の口に手を入れて薬を突っ込む。
 ゆっくりと水を流し込むと、それに合わせて喉が上下に動くのが見えた。

「飲んだわ」
[やったー、飲んだ]
[聖獣さん、これで助かるね]

 ガーネとベラが嬉しそうに周囲を飛び回る。

「うん、助かるといいな」

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