絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
「とは言っても、どうすっかなー」

 憂鬱な聖協会の会議を終え、ふうっとため息を吐く。

 俺の住む北部地区セローナの大司教ブルノ=サウセドが受けた神託は、非常に曖昧だった。

 ──聖獣の愛し子。アリシア。

 得られたのは、そのたったふたつの言葉だけ。〝精獣の愛し子〟というのはただの枕詞だとすると、手掛かりは〝アリシア〟という名前だけだ。それでも、当初はすぐに見つかるだろうと楽観視していた。

 先ほど国王であるカスペル陛下が言っていた通り、聖女候補は代々貴族の令嬢から見つかっていた。そのため、貴族年鑑を確認して〝アリシア〟という名前の令嬢と順番に会ってゆけば、聖女候補を見つけ出すのはさほど難しくないと思っていたのだ。

 聖女光臨の儀が執り行われることは、既にアリスペンの国中に知れ渡っている。そのため、聖石を持った俺が訪ねてゆくと、どの貴族も大歓迎で迎えてくれた。

 しかし、俺の予想に反して聖女候補の捜索は困難を極めた。
 どの〝アリシア〟に対しても、聖石が反応しなかったのだ。
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