絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 ガーネが私の手元を覗き込み、得意げに言う。

「お薬が乾いちゃうよ」
[乾かないようにカバーすれば平気。ほら、こうやって]

 ベラがガーゼにお薬を塗ろうとするけれど、体が小さいので全身が薬まみれになっている。見かねた私は代わりにガーゼにお薬を塗ってあげた。

「こう?」
[うん。それで、この上から魔法で空気のシールドを張れば乾かないよ。こうやって]

 ベラは軽く片腕を振る。すると、ガーゼに沿うように薄い空気の膜ができて、触ってもべたつかなくなった。
 それを見ていたら、ふと閃いた。

「そうだ。これを最初からすぐ使えるようにセットすれば、邪魔にならないかも!」

 食事を終えた後、使用する状況をよく知っているイラリオさんはもちろん、ガーネやベラ、リーンも加わってああでもないこうでもないと相談する。切ったり、貼ったり、試行錯誤しながら試作品を作った。

 結局、この日の〝持ち歩きが楽な傷の手当てグッズを作ろう会議〟はイラリオさんにもう寝る時間だからおしまいだと注意されるまで続いたのだった。

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