絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 その家の〝アリシア〟達は皆、自分が次代の聖女かもしれないと興奮から頬を紅潮させる。しかし、聖石に触れた瞬間、その表情は失望に染まった。

 聖石とはその名の通り〝聖なる石〟だ。聖女光臨の儀に際し、聖女候補が触れれば不思議なことが起ると言い伝えられている。前回の聖女光臨の儀の際に聖女候補を見つけ出した騎士の記録によると、七色の光を発したという。

『違ったようだな』

 何の変化もない聖石を見つめ、俺は告げる。

『そんなっ。その聖石が偽物であるということは?』
『これはセローナの大聖堂に厳重に保管されていたものだ。残念ながら、本物だ』

 納得いかない様子で言いつのる令嬢達に首を振ってみせる。
 そんなやり取りは一度や二度ではなかった。

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