絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
「ブルノ様!」

 私はブルノ様のほうへ走り寄る。ブルノ様は皺が刻まれた顔をくしゃりと崩して微笑んだ。

「アリエッタは今日も元気ですね」
「はい、元気いっぱいです」

 私は両腕を折って力こぶを作るポーズをしてからはにかむ。持っていた籠をブルノ大司教に差し出した。

「今日はこのお薬を届けにきました」
「そうですか。ありがとうございます」

 ブルノ大司教は私からお薬を受け取ると、それをすぐ近くにあった礼拝用の木製長椅子に置く。その様子を何気なく眺めていた私はあれっ?と思った。

「ブルノ様、疲れているの?」

 私の問いかけに、ブルノ大司教は意外そうに目を丸くする。

「なぜそう思うのですか?」
「うーんと……、なんとなく」

 私は口ごもる。
 理由を言えと言われると上手く説明できないけれど、ブルノ大司教の様子を見ていてなんとなくそう思ったのだ。

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