絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
(アメイリの森を巡回中の聖騎士団の団員と逢い引きしていたのかしら?)

 もしくは、妻子があった人か身分違いの相手ということも考えられる。

 目が合うと、ブルノ大司教はにこりと笑う。
 遠い記憶の中に残る、お父さんの面影がちらつく。銀の髪と金の瞳を持った、びっくりするくらい綺麗な男の人だった。

(リーンの瞳をどこかで見た気がするような気がしたけれど、夢で見たお父さんの瞳の色と似ているんだわ)

 初めてザクリーンが自分の目の前に現れたときなぜか懐かしさのようなものを感じた理由がわかったような気がした。珍しい金の瞳は、私と同じだ。
 ブルノ大司教によると、お母さんは私を産んで程なくして遠方のチェキーナにひとりで暮らす祖父の世話をするためにセローナを去ったのだという。

「相手はわかりませんが──」

 ブルノ様はゆっくりと口を開く。

「あの子はとても幸せそうでしたよ」
「……うん」

 お父さんとお母さんは愛し合っていて、そして私が生まれた。
 その事実を知っただけで、とても嬉しかった。

「一緒に祈りを捧げてみますか?」
「はい」
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