絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
「最近、お魚が高かったからあんまり買わないようにしていたんだ」
「気にせず買っていいのに」
「うーん、入荷も少なかったから」
「そっか」

 イラリオさんは「エリーはちびなのに、しっかり者だな」とふっと笑みを零す。

 ふふっ、ちびに見えますけど一応十八歳ですから。

「そういえばイラリオさん」
「なんだ?」
「ずっと雨が続いていたけれど久しぶりに晴れが続いているから、お散歩にでも行こうと思ったんだけど行ってもいい?」
「お散歩? どこに?」
「うーんと、まだ行き先は決めてないんだけどイリスを連れて少し歩いてこようかなって」

 イラリオさんは考えるように腕を組む。

「俺がついて行ければいいんだが──」
「ううん、それは大丈夫! お仕事の邪魔になっちゃうし」

 イラリオさんは聖騎士団の団長をしているのでただでさえ忙しい。
 私のせいで残業をしないようにしているせいで、家にまで書類を持ち帰って夜遅く作業していることも知っている。これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。

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