絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
    ◇ ◇ ◇ 

 お菓子も持ったし、水筒も持った。ちょっとしたシートとハンカチに帽子……。準備は完璧だ。

 それらを入れたリュックを背負うと、帽子を被って私は元気に家を出る。
 イラリオさんからはアメイリの森の奥には行くなと言われたので、アメイリの森とは少し距離のある川沿いの散策路へ行ってみることにした。カミラさんによると、春になると散策路沿いに一面の菜の花が咲いてとても美しいところなのだとか。

「おいっ、ちゃんと前を見ろ。転ぶぞ」

 きょろきょろしながら歩いていると、後ろから注意する声が飛んでくる。振り向くと、ザグリーンが少し後ろを歩きながらこちらを窺っていた。

「転ばないよ」
「見ていて危なっかしい」

 そうかなあ。そんなことない気がするけど?
 っていうか、なんだかザグリーンが保護者チックになっているのはなぜ?
 イラリオさんに私を頼むって言われたから?

[エリー、気を付けてねー]
[転んだら大変だよー]

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