絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 私の周囲を飛び回るガーネとベラまで。ザグリーンに会わせるように注意してくる。

 うーむ、納得いかない。
 けど、みんなが心配してくれているのだから感謝しないとだね。

(ん?)

 歩き始めてすぐに、散策路沿いの木々の合間から、見覚えのある木が見えるのに気付いた。

「見て。あれ、ルーリエの葉だよ。わあ、こんなところに! せっかくだから摘んでいこうかな」

 ルーリエと呼ばれるこの木の葉は、薬を作るときに使われる材料のひとつだ。葉っぱが手のように五股に分かれているのが特徴だ。

 一定の材料と混ぜると薬の効き目を強める促進剤のような効果があるのだけれど、ルーリエの木自体があまり生えていないので市場ではとても高値で取り引きされている。私もセローナ地区に来てからは初めて見つけた。

「よいしょっ」

 背を伸ばして手を伸ばし、葉を一枚摘み取る。
 独特の緑臭い香りが強くして、いい薬になりそうだと思った。

(何かあったときのために、ここに木があるって覚えておこっと)

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