絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 チェキーナに住んでいたときは薬草集めから調合、販売まで全て自分でやっていたため、どこに行けば何の材料が手に入るのか完璧に頭に入っていた。
 けれど、セローナに来てからはアルマ薬店に入荷された薬草を調合することしかしないので、自分で薬草を集めることはない。だから、この辺りのどこに行けば何があるのか殆ど知らないのだ。

[見て! これも薬草でしょ?]
[こっちにもあるよー]

 チェキーナにいたときもよく薬草探しの手伝いをしてくれたガーネとベラはここでも大活躍してくれた。次々に薬草を見つけては、教えてくれる。

「あっ、本当だ。明日、カミラさんにもここの場所を教えてあげよ」

 その後も歩いているといくつか見覚えのある植物を見つけた。思った以上にセローナは薬草の宝庫なのかもしれない。

 夢中になって薬草採りをしながらお散歩していると、時間が経つのはあっという間だ。

「そろそろ休憩しようかな」

 多分、もう二時間近く歩いている気がする。段々と足も疲れてきた。
 どこかで休憩しようかと辺りを見回していると「あっちによさそうな場所があるにゃ」とイリスが声をかけてくれた。イリスが案内してくれたのは、大きな木の根元だ。

 いい具合の木陰になっていたので、持ってきた敷物を敷いて腰を下ろす。
 リュックを下ろすと、中からお弁当を取り出した。今朝作ったサンドイッチだ。
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