絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 セローナ大聖堂までは歩いて五分ほどだけれど、今日はとても遠く感じる。早足で歩いている最中も、心配で心配でたまらなかった。

「ねえ、イリス。ブルノ様は大丈夫かな」
「それは実際に見てみないとわからないにゃ。早く行くにゃ」

 隣を歩くイリスがにわかにスピードを上げ、私のほうを振り返る。私はイリスについてゆくように、足を速めた。

 セローナ大聖堂にもうすぐ到着するとき、私は大聖堂の正面に見覚えのある人影を見つける。

「あれ、レオとリーンじゃない?」

 それは、イラリオさんとザグリーンに見えた。特にザグリーンのほうは背中に翼の生えたとても珍しい姿をしているので、見間違いようがない。

「レオ! リーン!」

 私はイラリオさん達のほうに駆け寄りながら、大きな声で叫ぶ。イラリオさんはすぐに私の声に気付いて、こちらを振り向いた。

「エリー! どうしたんだ?」

 私がここにいるとは思っていなかったようで、イラリオさんは驚いた様子だ。

「ブルノ様の体調がよくないって聞いて……。もしかして、レオもそれで?」
「ああ」

 イラリオさんは険しい表情で頷く。

「俺も通信機経由で状況を聞いただけなんだが……。とにかく、行こう」
「うん」

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