絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 イラリオさんはふと宙に視線を投げる。

「今日は随分と精霊がたくさんいるんだな」

 そして、私達の周囲を飛ぶ精霊達のほうに手を伸ばした。

「レオは精霊が見えるんですか?」

 これまで、精霊達を見ることや言葉を聞こえる人に出会ったことがなかった私は驚いた。イラリオさんはこちらを見下ろすとふっと表情を綻ばせる。

「はっきりとは見えない。なんとなくだ」

 イラリオさんの様子からすると、なんとなくそこにいるのがわかるだけで言葉も聞こえないようだった。話しかけられているのに全く気付く様子はない。

「──と言うわけで、〝聖女光臨の儀〟なんてかしこまった名前が付いているが、ようは聖女候補達が順番に大聖堂で祈りを捧げるだけだ。それぞれの神託を比べて一番はっきりとした神託が下った聖女候補が、次代の聖女になる。もし選ばれれば、この先一生の衣食住が保証されて豊かな生活が待っている」
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