絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします！

「神託って？」
「記録によれば、光が舞ったり花が咲いたりと不思議なことが起こるらしい」
「なるほど」

　私は頷く。

「ところで、聖女に選ばれないとどうなりますか？」
「元の生活に戻るだけだ。神聖力が強いことには変わりないから、大聖堂で働かないかとスカウトされるかもしれない。何も怖いことはないだろう？」

　イラリオさんは私を安心させるように、にこりと笑いかける。凜々しい表情が優しげに崩れる。その優しい笑顔のお陰で見知らぬ場所に連れてこられた緊張が解れるのを感じる。

「そうですね、安心しました」

　私はイラリオさんを見上げ、にこりと微笑み返した。

　　　　◇　◇　◇

　最後の聖女候補が見つかったという情報はすぐに聖協会に報告され、聖女光臨の儀は三日後に開催されることになった。それまでの間、私は王宮の片隅にある小さな屋敷で他の聖女候補達と一緒に過ごすことになる。

　到着した日、その豪華さに思わずはしゃいでしまった。だって、天蓋付きのベッドも天井からぶら下がるシャンデリアも初めて見たのだもの！
　イラリオさんはそんな私を見て、「大喜びだな」と笑っていた。