絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
(あれは、アリスベン王室に仕える近衛騎士?)

 僅かな間だけど聖女候補として王宮の一角に住んだとき、あれと同じ制服を着ている人をたくさん見た。
 近衛騎士は国王やその関係者を守る騎士だ。セローナ地区にずっと住んでいるカミラさんが見たことがないのも無理はなかった。

(なんで近衛騎士がひとりでここに?)

 暫く通りを眺めていたけれど、その男性以外に誰かが来る様子も見られない。
 その後から、聖騎士団の皆さんがどことなく忙しない様子なのだ。イラリオさんに聞いても『ちょっと色々あってな』と濁されて教えてもらえない。



 私はむうっと口を尖らせる。

「聖騎士団のことなら、誰がお偉いさんが来るらしいぜ」

 そのとき、机に影が差す。誰かと正面を向くと、クラスメイトのディックだった。

「お偉いさん?」
「誰かまでは知らない。けど、近日中に結構大人数で来っぽい」
「…………。なんでディックはそんなこと知っているの?」

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