絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
「はぐれるなよ」
「うん、大丈夫。リーンがいると、みんなが道を空けてくれるもの」
私は片手をザグリーンの背中に乗せたまま、こくりと頷く。ザグリーンはこれぞ聖獣といった見た目をしているので、見かけた人は皆敬意を表わして道を空けるのだ。お陰で、その後ろをちょこちょこと付いて行く私も人混みの影響を受けることなく進むことができた。
(あ、イラリオさんだ)
イラリオさんは、今日はいつもより少し豪華な騎士服を着ていた。黒地に金の装飾が施されているのは同じなのだけれど、その装飾が全体的に豪奢なのだ。上着の丈も、普段来ているものよりも少し長めで式典用だと感じさせる。
イラリオさんが立つセローナ大聖堂の前で、馬車が停まる。最初に馬車から出てきたのはヴィラム殿下だった。金色に煌めく髪とイラリオさんと同じような青い瞳。穏やかな雰囲気はチェキーナ大聖堂で最後にお見かけしたときと全く変わらない。ヴィラム殿下はイラリオさんを見つけると、何か声をかけて軽く抱擁をした。
(なんか、仲よさそう?)
ふたりの様子を見て、なんとなくそう感じた。イラリオさんのほうも笑顔だったから。
ヴィラム殿下はイラリオさんとの抱擁を解くとすぐに馬車の元に戻り、片手を中に向かって差し出す。その手に別の手が重なり、次に出てきたのは新聖女であるルイーナ様だった。
周囲の人達から一層大きな歓声が上がる。聖女様!と叫ぶ声があちこちから聞こえてきた。
イラリオさんは聖女様に丁寧に腰を折ると、その手を取って指先にキスをする。イラリオさんに笑顔を向けられ、ルイーナ様も微笑むのが見えた。
「うん、大丈夫。リーンがいると、みんなが道を空けてくれるもの」
私は片手をザグリーンの背中に乗せたまま、こくりと頷く。ザグリーンはこれぞ聖獣といった見た目をしているので、見かけた人は皆敬意を表わして道を空けるのだ。お陰で、その後ろをちょこちょこと付いて行く私も人混みの影響を受けることなく進むことができた。
(あ、イラリオさんだ)
イラリオさんは、今日はいつもより少し豪華な騎士服を着ていた。黒地に金の装飾が施されているのは同じなのだけれど、その装飾が全体的に豪奢なのだ。上着の丈も、普段来ているものよりも少し長めで式典用だと感じさせる。
イラリオさんが立つセローナ大聖堂の前で、馬車が停まる。最初に馬車から出てきたのはヴィラム殿下だった。金色に煌めく髪とイラリオさんと同じような青い瞳。穏やかな雰囲気はチェキーナ大聖堂で最後にお見かけしたときと全く変わらない。ヴィラム殿下はイラリオさんを見つけると、何か声をかけて軽く抱擁をした。
(なんか、仲よさそう?)
ふたりの様子を見て、なんとなくそう感じた。イラリオさんのほうも笑顔だったから。
ヴィラム殿下はイラリオさんとの抱擁を解くとすぐに馬車の元に戻り、片手を中に向かって差し出す。その手に別の手が重なり、次に出てきたのは新聖女であるルイーナ様だった。
周囲の人達から一層大きな歓声が上がる。聖女様!と叫ぶ声があちこちから聞こえてきた。
イラリオさんは聖女様に丁寧に腰を折ると、その手を取って指先にキスをする。イラリオさんに笑顔を向けられ、ルイーナ様も微笑むのが見えた。