絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 精霊達は少し不服そうな顔をしたけれど、すぐに作業台上に横になりながらこちらの様子を窺う黒猫──イリスの元へと飛んでゆく。

「今、忙しいにゃ」

 イリスは片手をくいくいっと振る。どうやらそれが遊べないの合図らしい。

[えー。うそだあ、今寝てたじゃん]

 精霊達は頬を膨らませると、イリスにぽんっと乗っかる。

[遊んでー!]
「やめるにゃー!」

 イリスはたまらず逃げようとするけれど、端から見ると黒猫と精霊達がじゃれているようにしか見えない。その可愛らしい姿を見ていたら、重圧で押しつぶされそうになっていた心が少しだけ軽くなるのを感じた。

(さっ、早くしないと)

 私は止まっていた手元に視線を移し、作業を再開する。
 なんとしても今日中に伝説の魔法薬〝エリクサー〟を完成させないと。

 ──もし失敗すれば、私は国家反逆罪の重罪人として処刑されるのだ。

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