絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 イラリオさんは私が気を失っていた間の出来事を説明する。

 なんでも私が気を失ったのと同時刻、ルイーナ様はアメイリの森で皆が無事に帰れることを願い祈りを捧げていたのだという。すると七色の光が天に昇った。それにより強力な神聖力の結界が出来上がり、更には瘴気がすっかりと浄化されたという。

 そのため、外は〝新聖女の奇跡〟だと人々が祝いお祭り騒ぎになっているのだという。

 思いがけない事態になっていて驚きのあまり唖然としてしまった。でも、そこで実はこれは好都合なのでは?と気付く。

(ルイーナ様が奇跡を起こしたなら、私はこのままここにいていいってことだよね?) 

今回ばかりはルイーナ様に心の底から感謝してしまった。

    ◆ ◆ ◆

 俺の人生は割と波瀾万丈だが、こんなに驚いたのは人生で初めてだと断言する。

 ルイーナの失態により魔獣に襲われたとき、俺は死を覚悟した。ザグリーンがすぐに助けに駆け付けてくれたが、襲ってきた相手もザグリーンと同じぐらい大型の魔獣だ。力は拮抗していた。

(くそっ、血が足りないな)

 止めどなく流れてくる血を止めようと、自分の肩を強く押さえる。それでも無理だったので、火の精霊の力を借りて傷口を焼いた。

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