絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
「本物だという証拠はありませんが、偽物だという証拠もありません。アリシアさん、何か証明する方法は?」

 大司教がその場を治めようと、私に問いかける。けれど、聖石が使えないとなると証明する方法が思いつかなかった。

「証明する方法などないでしょう」

 先ほどの司教が勝ち誇ったようにこちらを見る。
 そこでようやく口を開いたのは、ここで最も権力のある国王陛下その人だった。

「その娘が聖女の神託を受けたと証明する方法は本当にないのか?」
「あるとすれば、聖女のみが作ることができるという伝説のエリクサーでも作ってみせることくらいですよ。なにせ、薬師だそうですから、薬を作るのはお手のものでしょう?」

 私のことを偽物扱いした司教が言う。

 ──作れるわけがない。お前は偽物だ。

 司教は直接口に出さないものの、明らかにそう言っていた。

「よかろう」

 国王陛下は頷く。
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