絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
「家に帰りたいの」

 私は思わず、弱音を吐く。

[アリシア、ここに居たくないの?]
[ここが嫌いなんだね?]
[じゃあ、帰ろうよ]

 精霊達が口々に言う。

「だめなの。このお薬を完成させないと、帰られないの」
[お薬? なんでー?]
「それは──」

 私は言葉を詰まらせる。精霊達は私をじーっと見ていたけれど、あっけらかんと笑った。

[わかった! じゃあ、イリスにも手伝ってもらおうよ]
[アリシアの望む薬ができますようにー]

 精霊達がきゃっきゃとはしゃぎながら、黒猫のイリスの元に集まる。

「明日で一週間かにゃ?」

 イリスはのんびりとした様子で顔を上げ、私に尋ねる。

「うん、そう」
「そうかにゃ。じゃあ、そろそろ呼びに行ってくるにゃん」

(呼びに行くって、何を?)

 聞く間もなくイリスはすっくと立ち上がり、少し開いている窓から外へと出て行く。
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