絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
   ◆ ◆ ◆ 

 一方その頃──。
 俺──イラリオはアリシアの無罪を証明するために奔走していた。

「アリシアがそんなことするわけがないだろう!」
「しかし、あの場にいた全ての者が目撃しました。アリシアさんが祈りを捧げたときだけ祭壇では何も起こりませんでした。そして、祈りが終わった後に精霊神の言葉を直接聞いたと彼女自身が言ったのです」

 その場に居合わせたという司教が眉尻を下げながら説明する。
 俺はギリッと奥歯を噛みしめる。

 あの日、聖女光臨の儀が終わるのを控えの間で待っていた俺にもたらされたのは、想像もしていなかったような知らせだった。
 セローナ大聖堂が推薦した聖女候補──アリシア=エスコベドは聖女のふりをしてその座を手に入れようとするとんでもない悪女である。そんな驚愕の話を聞かされたときは、度肝を抜かれた。
 さらに、その場にいた国王──カスペル陛下が一週間以内にエリクサーを作れなかったら、死刑にすると言ったとも。

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