絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
(うわー、かっこいい人……)

 さらりとした黒髪、すっとした鼻梁、少し鋭さのある目は昔一度だけ見た海のような青。その人は、滅多に見かけないような凜々しく整った顔立ちをしていた。

「きみはここに住んでいるアリシア=エスコベドかな?」
「そうですが」

 名前をフルネームで確認され、ちょっと面を食らった。けれど男性はこちらの様子に構うことなく、会話を進める。

「アリシアは薬師なのかい?」
「はい。一応」

 思わず、その男性を訝しげに見返してしまった。

 家の前にぶら下がる薬草の看板を見れば、ここが薬店であることは一目瞭然のはずだ。
 それなのに、こんなことを聞くなんて薬がほしくてここに来たわけではない?

 男性は懐に手を入れると何かを取り出した。
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