絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 その予想は見事に当たり、イラリオさんは「それなら、まあ」と同意した。
 今日買った荷物の中にエプロンがあった気がしたので探してみると、案の定見つけた。
 私はそれを手早く着けるとキッチンへと向かう。大きなお屋敷なだけあって、キッチンも立派だ。

「エリー、切るのは俺がやるから包丁は使わなくていい」

 お野菜を切ろうとしたら、イラリオさんに早速止められた。

「大丈夫。本当に、慣れているから!」

 心配そうにこちらを見るイラリオさんを説得して、私はフルーツ用のナイフを握る。普通のナイフは手に対して大きすぎたのだ。

「大丈夫か? 手、切るなよ?」
「大丈夫だよ」

 そんなに心配しなくても平気なのに。
 ひとり暮らしのときいつもやっていた要領で人参の皮をむき始めると、イラリオさんが「おおっ!」と声を上げる。

「エリー、お前すごいな」
「普通です」
「いや、普通じゃない。俺はできない」
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