【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
彼女はそう言うと「もういいですか? わたしまだ仕事の途中なの」と言って席を立った。
「あ、では最後に一つだけ教えてもらってもいいですか?」
と問いかけたわたしに、振り返った彼女は眉間にシワを寄せ「今度は何?」と問いかけてきた。
「一昨日の21時から23時の間、あなたはどこで何をしていましたか?」
「何、アリバイ確認?」
「すみません。関係者の皆さん、全員にお聞きしていることなので」
とわたしが伝えると、彼女は不機嫌そうな表情をして「はぁ……。一昨日なら、ここで働いてたわよ。ボーイに聞けば分かるわよ」と言ってまた席へと戻って行ってしまった。
その後すぐボーイに確認したが、やはりその日彼女はここでお客様を接客していたことのアリバイが、確認された。 そのため捜査は、また振り出しに戻ってしまった。
「伊藤綾香も白か……」
「はい。確かにその日、その時間に花蓮こと伊藤綾香は、数名のお客様の相手をしていたことがボーイや関係者の証言で確認されました」
小野田課長にそう伝えると、小野田課長は難しそうな顔をして腕を組んでいた。
「参ったな……。振り出しか」