【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
「はい……」
伊藤綾香が何かを握っているのは、確かなのだけど……。
「ただ一つ気になるのは、矢野と伊藤綾香の証言が食い違っていることなんです」
「食い違っている?」
わたしその問いかけに「はい。矢野は伊藤綾香が被害者を脅していたと証言していたのですが……。伊藤綾香は、わたしはそんなことは言ってないと、証言していました」と小野田課長たちに伝えた。
「どういうことだ?」
「伊藤綾香本人は、そもそも被害者と交際すらしていないと言っていたんです」
「何?交際してない?」
わたしは「はい。しかも彼女は、自分ではなく被害者の方から、彼女と別れるから結婚しようと言ってきたのだと言っていたんです」と伝えた。
「なんだ、それは……? どっちの言い分が正しいんだ?」
「分かりません。……ただ、伊藤綾香がウソを言ってるとは思えませんでした。 アリバイがある以上、彼女は白でないかと思いますが……」
ただ分からない。伊藤綾香がウソを付いている可能性だってある訳で……。
どっちの証言が正しいのか、もう一度調べる必要がある。……事件を早く解決するためにも。