【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
ますます冷えてきたし、こんな寒い日は温まる豚汁に限る。なんかこう、心までホッとする。
「大分冷えてきたな」
「うん。寒くなってきたね」
気が付けばいつの間にか夏は終わっていて、10月に入っていた。 寒さが少しずつ強くなり、そろそろコートが必要なのでは?というような季節になってきた気がする。
「後でコートとかセーター、引っ張りだすしかなさそうだな」
「そうだね。その方がいいかも」
「所でそっちはどうだ?犯人、捕まったか?」
そう日向から聞かれたわたしは「ううん。まさかの振り出しに戻った」と答えた。
「え?あの不倫相手が犯人じゃなかったのか?」
「うん。……しかもあの不倫相手は、被害者の不倫相手なんかじゃなかったみたい」
わたしはそう伝えた後、生姜焼きを口いっぱいに入れた。
「不倫相手じゃなかった?」
「うん。伊藤綾香はそう言ってた。被害者の方から、彼女に迫ってきたってね」
そう言うと日向は「え、被害者の方から迫ってた?」と問いかけてきた。
「うん。……しかも彼女、交際なんてしてないって、交際自体も否定してたし」