【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
「お疲れ様です」
「お、お疲れ。お前らどうだった?」
署に戻ると、小野田課長からそう声をかけられた。
「いえ。何も収穫なしです」
「被害者の身元が分かるような人は、いませんでした」
そう答えたわたしたちに、小野田課長が「そうか……」とだけ答えた。
「お前たちは引き続き、被害者の身元をあらってくれ」
「はい」
「は、はいっ!」
課長から直々に言われると、なんだか緊張してしまう……。
「何か分かったら、逐一俺に報告してくれ」
「分かりました。 行こう、笹野」
「は、はいっ」
わたしたちはもう一度、現場近くへと足を向けた。
「ねぇ、日向」
「何だ?」
わたしは現場周辺に怪しいものがないか調べている日向に「この近くって……。防犯カメラ、ないのかな?」と問いかけた。
もし現場に防犯カメラがあれば、もしかしたら犯人の姿が映っている可能性もあるからだ。
「他の班の話だと、この付近に防犯カメラは設置されていないらしい。それ故、被害者の姿どころか犯人の姿も映ってないって訳だ」
「そうなのぉ……」
防犯カメラもないなんて……。