【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
わたしはそう言うと、冷蔵庫から冷えたグラスとビールを取り出して、そのプルタブを開けた。
「傷害事件って、どんなだ?」
「被害者は元々、不良グループに所属していて、悪い仲間たちとつるんでいたみたい。 そこでとある男性と揉み合いになり、殴る蹴るなどの暴行を加えたみたい。……その男性は骨折などの大怪我で、全治6ヶ月だったって」
「そうか……。まさか前科があったとはな」
わたしはビールを飲みながら「そうだね。お母さんから聞いて、わたしもビックリした」と言うと、日向は「……まさか、だな」と驚きを見せていた。
「さっき元不良グループの仲間って人に話を聞いてきたんだけど……。グループを解散してからは、会ってないって言ってた。 本当かは分からないから、明日裏を取る予定」
「そうか。……被害者、意識が戻るといいな」
「……うん」
例え過去に前科があったとしても、被害者はちゃんと更生していたはずだ。
どんな理由であれ、どんな人であっても、あんな目に遭うなんて許されることじゃない。もしそれがどんなに卑怯で、どんなに最低な人だった、としても……。