【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
「笹野!やめろ!」
遠くから、高野さんの声が聞こえる。
「何してるの?撃つんでしょ? ほら、早く撃ちなさいよ」
わたしがそう言ったそのすぐ後、わたしが付けていたマイクに無線が入った。
「こちら特殊班。現場に到着。突入します!」
どうやら、応援部隊が到着したようだ。
「どうしたの?撃つんでしょ?」
わたしは犯人が持っていたその拳銃に手を掛け、そして引き金を引くように伝えた。
高野さんと門野さんは、何やら二人で話をしているようだった。
「あ、ああ!撃つぞ!」
「ほら、早くやりなさいよ」
そしてその時……。
「笹野、聞こえるか」
そしてマイク越しに、門野さんの声が聞こえた。
門野さん……?
「そのまま聞いてくれ。今特殊班が後ろから周って、犯人を確保しに動いてる。……悪いが、もう少し時間を稼いでくれ」
そう言った門野さんと高野さんが、心配そうにわたしを見つめている。
「答えなくていい。そのままもう少しだけ、頼む」
わたしは言われた通り、時間を稼ぐために動き出した。
「……ねぇ。あなたのお仲間、もう死ぬけどいいの?」