【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
「お疲れ様です!笹野、戻りました」
その女性から話を聞き終わった後、わたしは急いで勤務先の西郡(にしごおり)東署へと戻った。
「お、笹野。どうだった?」
「はい。被害者の身元が分かりました」
「何、本当か!?」
小野田課長からそう問いかけられたわたしは「はい。現場周辺に住んでいる住人の一人が、被害者のことを覚えていました」と伝えた。
「笹野、どういうことだ?」
「その女性の話だと、被害者は半年前に営業でその方の家へ来ていたそうなんです。その時の名刺も借りてきました。 これです」
わたしはその名刺を小野田課長に手渡した。
「金田涼平……。これが被害者の名前か?」
「はい。ですが念の為、その会社に電話をして問い合わせをした所、その会社も、その金田涼平という名前も全てデタラメだということが判明しました」
わたしはそう伝えると、小野田課長にあるものを手渡した。
「なんだ?これは」
「金田涼平がその女性に手渡したと思われるパンフレットです。そこに金田涼平という人物と思われる指紋が付いています。 これを鑑識さんに調べてもらうように手配してもらいました」